コミックマーケット96お疲れさまでした。死ぬほど暑くて大変でしたね…。生きててよかった。
さて、僕はラクエスクとしては2年ぶりの音楽CD『Flowers Unfold Re:Bloom』を頒布しました。 CDを出すときに長々と文章を書くのが恒例化しているので、もちろん今回もやります。 せっかくなのでこれまでのものもおさらいしておきましょう。
2014: Flowers Unfold http://rooandqoo.hatenablog.com/entry/2014/08/14/004510
2015: Euphoric Tourism http://rooandqoo.hatenablog.com/entry/2015/08/25/004601
2016: Delicious Solaris http://rooandqoo.hatenablog.com/entry/2016/08/16/002610
2017: Crimson Raincoat http://rooandqoo.hatenablog.com/entry/2017/08/28/235730
それではいきます。例によって製作者の考えとかを見るのが苦手な方はブラウザをそっと閉じて下さい。 興味のある方はクロスフェードを聞きながら(CDをお持ちの方はそちらをぜひ)、続きを読むを押してくださいませ。
Re:Bloomとは?
今回のCDは、2014年に頒布した『Flowers Unfold(以下FU)』のセルフリメイクです。 なので、5枚目のCDですが型番も『RQCD-001R』となっています。 FUをつくったときは今ほど創作に対して深く考えていなくて、「俺もルーアンドクーに曲つけてほし〜!」っていう思考からテーマを絞り出して曲やイラストを書いてもらった、っていう感じでした。 その翌年にリリースした『Euphoric Tourism』で、デザイナーのcodaさんからものづくりに対する姿勢とか考え方を学んで今に至るわけですが、一昨年『Crimson Raincoat』をつくったあたりでふと
Euphoric Tourism〜Crimson Raincoatは繋がってるけど、Flowers Unfoldだけちょっと仲間外れだな。
ということに気づいたんですね。 そこで、「あれから5年経った今、もう一度FUをつくったらどうなるのか?」という興味もあり、今回のリメイクに踏み切るに至りました。
そしてこれを見てください。
瓶底スケチン最初のリリース発表はこちら!ラクエスクの1枚目のCDの再解釈になります!自分が、るーくさんが、出来ることもこの時とは変わりました、みんなも、るー子もくー子も成長しました、今回デザインは過去の自分との見つめ合いでもあります、是非見てください https://t.co/RO8588bxZe
— ヒトマスモドル@4日目南サ13ab (@00unit) August 1, 2019
何度見てもグッと来るツイートです。TOTY(ツイートオフザイヤー)ノミネート間違いなしです。
ちなみに『Re:Bloom』はそのまま再開花です。お花がテーマなので、もっかい咲かせましょう、ということです。
テーマについて
FUの元々のテーマである『四季』は、リメイクするにあたっても外せない要素でした。 なんたってそれがFUですから。 そして今回はそこに『感謝』を添えました。 ルーアンドクーは『誰か』のもとで夢を叶えるお手伝いをしています。その『誰か』はCDを手にとってくれた『あなた』。 『あなた』がいるから、ふたりは生きていられる。『あなた』がいるから、僕も生きていられる。 これまで創作できたこと、ルーアンドクーならびに僕が生きてこれたことはひとえに周りの人達あってのことで、それを伝えられるようなものを作りたいなあ、という、100%こちら側の意図をふたりに代弁していただく形になりました。 花束を贈ること、その行為自体が『感謝』を伝える行為ではありますが、花束の中に入っている花にはそれぞれ花言葉があります。 この花言葉の集合が、『これまでのすべて』を表しています。 どんな花言葉があるのかはこのあと明かしていきますが、念の為隠しておきます。 説明なしで気づいてもらえることはそうそうないと思うんですが、気づきたい人が気づいてくれるくらいが丁度いいかな、とも思います。
楽曲について
テーマに沿って、『花束』となるべくして集められた花たち。その花たちが持つ花言葉をテーマに、凄腕コンポーザーの皆様にお声がけさせていただきました。 季節や花言葉、テーマやこれまでのストーリーを汲み取って表現してもらうにあたり、人選は悩みに悩み抜きましたが、皆さん最強のクオリティと『わかり』を発揮していただいて感謝してもしきれません。 そして『再び』というからには『Remix』も入れたいよね、ということで、ラクエスクCD初のRemix枠もあります。
01. Two Stories / Taishi
ヒガンバナです。花言葉は『転生』。 リメイク、ということで、1曲目は絶対この花にしようと決めていました。 ジャケットのアートワークで咲き誇るヒガンバナ。 花畑の中で光を指差するー子とくー子。 イラストはpenさんにお願いしました。今までも重要なシーンを可愛く、儚く、美しく描いてきていただいたpenさんだからこそ、このリメイクではジャケットを飾ってほしかった。 ある意味その夢が叶うことになりました。 楽曲はTaishiさん。人によってはトランスをつくるアーティスト、というイメージがあるかもしれませんが、自身のサークルでは圧倒的な世界観を表現したアルバムをリリースしています。 Taishiさんの力をお借りすることで本作品の奥行きを広げてもらえたら、という気持ちでお願いしました。 結果はもちろん大成功!!!
02. breathe slowly (syatten Remix) / stereoberry Remixed by syatten
プリムラ・シネンシス。花言葉は『永続する愛情』。 『FU』の1曲目を飾っていただいたstereoberryさんのbreathe slowlyが生まれ変わって再登場。花束の中の1曲目、という意味ではその位置づけもFUと同じです。 syattenさんとはstereoberryさんと親交も深く、製作される曲の相性もいいだろうな、と思ってお願いしました。 ドロップで新たに加わったフレーズがエモにエモすぎて、2曲目から昇天してしまいそうです。しました。
03. Angrek / Hommarju
アングレカム。花言葉は『いつまでもあなたと一緒』。 Hommarjuさんにはいつも無茶振りをしてきました。 と書いたところで、フリ方は他のメンバーと同じだったような……?という気もしてきました。 我々の期待をいい意味で裏切り、驚きと感動をもたらしてくれたHommarjuさん。 明るく優しい人柄の彼には、どうしても『夏』のイメージがある。 だからこそ曲がったお願いをしてみたい。ということで、FUでの秋に続いて冬をお願いしました。 美しく儚く、そして壮大なピアノバラード。完璧すぎて震えが止まりませんな。
04. Asymmetric Snowflakes / かめりあ
カランコエ。花言葉は『たくさんの小さな思い出』。 満を持して?かめりあさんが初登場です。 恐ろしい速度とクオリティでソロアルバムをリリースしまくるかめりあさんですが、毎度その芯の通ったコンセプトには心を打たれ続けてきました。 そんな彼に、我々の『コンセプト』をぶつけたとき、どんなものが返ってくるのか。 少しの好奇心と大きな期待を込めて、今回の企画で声をかけさせていただきました。 緻密に練り上げられた音の集まりが、花言葉『たくさんの〜』にとてもマッチした人選だと勝手に思っています。 実際のアウトプットもふたりのこれまでのお話や性格、今回のコンセプトをしっかり汲み取っていただき、素晴らしい1曲が仕上がったな、と感服しております。さすがの一言です。
05. fluffy dreams (RK Cycle of Life Mix) / 源屋 Remixed by Ryunosuke Kudo
カモミール。花言葉は『あなたを癒やす』。 FU続投シリーズです。原曲は源屋さんの優しいUplifting Tranceですが、Ryunosuke Kudoさんの手により深みのあるハウスに生まれ変わりました。 原曲のちょっとクサい感じ(悪口じゃないですよ)のリフを料理してくれそうな人がなかなか思いつかなかったんですが、KudoくんのクサメロUpliftingが大好きなことに気づいて、ここでシナジーを生むしかない!と思ってお願いしました。 結果的にハウスになってきたのはビックリしましたが、カモミールの花言葉通りの楽曲に仕上がっているのではないかと思います。
06. Day of the Locus / ハム
チューリップ。花言葉は『純粋』。 ハムさんも初登場。光栄なことに、以前よりラクエスクのCDを気に入ってくださっていて、それならお呼びするしかねぇ!という勢いで今回お誘いさせていただきました。 春、草木が芽吹き、花開くようなイントロから、ふたりの生活、ちょっとした事件、さまざまな出来事を想起させる劇伴チックな美しい旋律が心を掴んで離しません。 是非細かい音まで耳をすませて聴いて下さい。
07. Passage feat. ななひら / m@sumi
スターチス。花言葉は『変わらぬ心/途絶えぬ記憶』。 今やラクエスクのCDに欠かせない存在ともいえるm@sumiさん。 そして初登場のななひらさん。以前北海道コミティアにご一緒させていただいた時がラクエスクとしては初めての邂逅だったんですが、本業はボーカリスト。いつかの機会にお歌を相談したい…と思っておりました。
ななひらさんに誰をぶつけるか?ということになると、やはりここは「ラクエスクらしさ」みたいなものを出していける方がよいだろうということで、おそらくまだ世に出ていない組み合わせを自分のワガママでつくってしまいました。 作詞には、ななひらさんの曲でもいくつか実績のあるひかがみひなみさん。ガーリィでどこか影のある詞が、ルーアンドクーの世界観にもとてもマッチしています。 楽曲はm@sumiさんのアイデアで疑似デュエットのような構成に。 るー子くー子双方の感情を巧みに歌い分けていただいて素晴らしく、このCD屈指のキラーチューンになったのではないかと。
08. Like The Sun (Srav3R Remix) / DJ Noriken Remixed by Srav3R
ハルシャギク。花言葉は『常に快活』。 原曲は初めてつくったCDで初めて届いた曲なので、思い入れもひとしおです。当時はあまりの衝撃に涙が止まりませんでしたね…。 Remixを誰に依頼しようか、と考えた時に色々候補は出たんですが、爽やかな夏のような楽曲製作を得意とするSrav3Rさんと相性が良さそうだな、と思ってお願いしました。 個人的にとっても好みなのがドロップの4拍目でキックが抜けるところです。くっっっっっっそ良い。
09. Two as One / Junk
ブルースター。花言葉は『信じ合う心』。 個人的にこの花言葉をJunkさんのイメージがすごくシンクロしてて、なんでだろう…『Auroras』のシーンがすごくそれっぽいからでしょうか…。この枠はJunkさん以外ありえないな、と思いました。 夏の爽やかさと、花言葉を表すような美しさを両立したきれいなUplifting Trance。これがJunkさんの真骨頂ですよね…。本当にありがとうございました。
10. Sh(i/y)-ny smile, step by step. / DJ Noriken
プルメリア。花言葉は『日だまり/内気な乙女』。 FUの時も夏、今回も夏。やっぱなんか夏が似合うんだよなあ…。 というか花言葉がもうDJ Norikenじゃないですか?わかりませんか? タイトルもさあ……そういうオシャレなことしてさあ……。 しかも曲中にアレがああなってさあ……。 とにかく感動的。もう大好き。聞いて。
11. Autumn High Treat Town (tpz Reconstruction) / Hommarju Remixed by t+pazolite
ベゴニア。花言葉は『幸福な日々』。 FUのラストを飾ったHommarjuさんのド変化球トラック、アレンジをしてもらうというよりかこれはもう『破壊』してもらうしかないな……と感じ、破壊といえばこの人!という人選です。 花言葉のハッピー感もとぱぞさんに合ってませんか?僕はそう思います。 Remixも期待以上に原曲のよさを残しつつかわいく破壊していただいて、ハッピーなパレードのような曲に仕上がっています。なまらいい。
12. Stay Around / stereoberry
センニチコウ。花言葉は『不朽』。 「今回もテーマが難しい!!」と怒られました。stereoberry先生。でもこうやって素敵な曲を書いてくれるんだから……好きだよ……。 はい、FUの1曲目、ひいてはラクエスクの1曲目を努めたstereoberryさん。彼が灯してくれた火がこうして5年も続いているんです。だからこその、このポジションです。 そんなこと本人には言ってないんですけど、通じてくれたのかのこのバラードです。バラードなのかな?秋の寂しさと暖かさがこの1曲に凝縮されています……。
13. 揺り籠に花束を、君に約束を。 / Feryquitous
ガーベラ。花言葉は『感謝』。 Delicious SolarisからラクエスクのCDにおけるジョーカー的存在、Feryquitousさん。DSでもCRでも、エンディングに向かう大きな場面には彼女の曲がありました。 そんな彼女に、このCDではエンディングをお願いしました。 ラクエスクのCDでは普段、製作中に他の方の曲をお渡しすることはないんですが、彼女にだけはTaishiさんの曲を聞いていただいて、この曲をつくってもらっています。 歌詞を見て色々想像を膨らませていただけたら、と思いますのでここで深くは言及しませんが、このCD全体を通しての『まわる』というキーワードを探しながら是非聞いてみてください。
装丁について
いつもどおりの3つ折りデジパックです。なんでこうなってるかはEuphoric Tourismの記事見て下さい。 ただ、いつもと違ってCDが右の方にあります。デザイン的にこの方が収まりがよかったので変えてみました。
肝心なのはそこじゃなくて、閉じてるところを開いたところです!! せたさんがドット絵を沢山描いてくれて、キャラクターやアイテムが歌詞やスタッフリストを飾りつけてくれています。 こんなところにも、『これまでのすべて』があるんですよね〜〜〜。エモくないですか???僕はエモいと思います。
そしてブックレット。正確にはブックじゃないんですけど…。 描かれているのは花束をもつふたり。 ナツメサク先生がウルトラ気合を入れて描いてくださったスペシャルな1枚です。 『これまでのすべて』に『感謝』して、花束を贈ります。
裏面には花束になる前の花たち。 花たちの並びにもちゃんと意味はあります。これは結構わかりやすいんじゃないかと思います。 わかったらこっそり教えてくださいね。
おまけ
実はCDの装丁にミスがあったよ、という話があります。 http://rooandqoo.hatenablog.com/entry/2019/08/13/003313
おわりに
正直このCDができたら、ラクエスクとしてはもうCDはつくらなくていいかな〜と思っていました。 CRでいい感じに区切りっぽいものができたし、あとはFUをどう繋げてあげよう?としか思っていなかったので。
ただコミケ当日を迎えてみると、自分が思っていた以上に「待っていた」「好き」というポジティブな声をたくさんいただけました。 ルーアンドクーや創作、世界観を好きでいてくれる人、音楽が好きな人、イラストが好きな人、それぞれ人によって「好き」の形は違うと思いますが、こうして手にとってくれる人が我々の創作を待っていてくれるなんて、これ以上嬉しいことはありません。
というわけで今後も何かしらの形でこういった機会はつくっていきたいと思います。もちろん乱発はしませんが…。 このCDを通して初めてラクエスクのことを気に入ってくれた方は、是非普段の創作や、ふたりのいる『あなたの』世界に目を向けてくだされば幸いです。