And Q.

思ったことを書きます

Delicious Solaris

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rooandqoo.com

去る8/14日曜日、コミックマーケット90の3日目にて、僕が主宰するサークル「ラクエスク」から音楽CDがリリースされました。 タイトルは「Delicious Solaris(デリシャスソラリス)」、おいしい太陽系的な意味です!(Solarisは別に太陽系って意味ではないっぽい) ルーアンドクーでおなじみのるー子とくー子が、太陽〜冥王星に見立てた10種の焼き菓子をつくり、それをテーマとした音楽を集めたアルバムとなっています。

懲りずにCDについて色々書きますので、こちらもお馴染み村田裕次さんによるクロスフェードムービーを聞きながらお読みいただければと思います。

あらすじ

昨年リリースした「Euphoric Tourism」の劇中において、最後に訪れたノルウェーで見たオーロラが忘れられないふたり。 なんとか宇宙に飛び出せないか?と画策するも、どうやらそう簡単にはいかないようす……。 「ならば」ということで、いっそ手元につくってしまおう、という話に。 実現方法として選んだのは、お菓子。 オーブンの中という宇宙空間に、ふたりは思い思いの太陽系を創造するのだ!!

という感じです。

世界を旅したら次は宇宙、というのはありがちな発想だと思うんですが、単純に宇宙に行ってもらうのはなんか違うし、昨年積み上げた「リアルさ」を破壊しかねないなあと悶々としていました。

そこで思いついたのがケーキでした。お菓子づくりってもうシチュエーションだけで可愛いし、「オーブンの中」の未知空間っぽさがとてもテーマにマッチしてる気がしたんです。 とまあ思いつくところまでは良かったんですが、完成まではまた色々と頭を抱えることになるのでした。

タイトルについて

CDつくるときのタイトル、勝手に縛りプレイをしてるんですが、今回めっちゃしっくり来てると思います。DS。 思いついた時は自分マジで天才なんじゃないか?と思いました。良くないですか?

イラストと音楽

イラストサイドのみなさまには「太陽系モチーフのお菓子(焼き菓子限定)を描いてください!」というオーダーをしました。 星の名前だけでピンと来た方や色々話し合って決めた方などその辺りは色々ですが、ここに関してはスムーズにいったと思います。 問題は曲の方です。 惑星+お菓子というテーマを曲にする、というのは企画段階から(僕が音楽つくれないということもあり)うまくいくか心配でした。 とはいえ皆さん経験豊富な方々ですので、そんな心配は完全に杞憂だったんですけれども……。 本当に頭が上がりません。

パッケージングについて

前作で取り入れた3つ折りデジパック。開ける時のワクワク感が強いのと、個人的に大好きな装丁ということもあり、今回も採用する運びに。 ある日、「オーブンも『開ける』動作が必要になるし、これ装丁に使えないかな?」というアイデアが浮かび、縦開きにすることを決意。 その流れで、オーブンの前でワクワクするふたりをジャケット担当のみずはさんに描いていただき、『オーブンの中を宇宙に見立てて、星をつくるふたり』を演出しました。 ジャケット内部のデザインをしていただいたcodaさんはこちらの意図を完全に汲み取って、デザインに昇華してくださいました。 CDを取ったあとの仕掛けなど、細かい気配りが本当に上手い……。

もうひとつのポイントはブックレット。 これまではジャケットを開いたところに貼り付けていましたが、今回は収納することにしました。 収納箇所がまたいい感じで、前述した「オーブンの前でワクワクするふたり」の姿を引き立ててくれています。

ジャケット表面はお馴染みヒトマスモドルさん。 裏面の成分表など、お菓子のパッケージっぽさを前面に押し出すデザインは彼によるものです。 ここはいつもお任せしている部分で、自分にはない発想でした。

スペシャルセット

昨年製作した「旅のおもいでセット」のような、ふたりからの贈り物感を更に高めるセットをまたつくりたくて考えたのが今回のセットで、「ふたりが焼いたクッキー」「お菓子のパッケージのような箱」のふたつを用意しました。 クッキーデザインはナツメサクさん、箱のデザインはcodaさんです。たくさん焼いたクッキーを箱詰めするふたりを想像していただけると、とても可愛いんじゃないかと思います。 クッキーはほまれさんに無理を言って、イラストの中に埋め込んでいただきました。ありがとうございました。

惑星とお菓子と音楽

太陽系の星は、太陽、水星、金星、地球、火星、木星土星天王星海王星、(冥王星)の10個あります。 ここからは星が持つ意味とか、それにまつわる曲+イラストについて1つずつ紹介していこうと思います。

01.[太陽] Fairy Sugar Hearts

地球をまぶしく照らす太陽は、生命の象徴。 ジャケット上で燦然と輝いていますが、お菓子はイチゴをメインにしたフルーツタルトです。 担当はみずはさん。ふたりのかわいらしさと、お菓子をテーマにした一枚ということがビシっと伝わる素晴らしい1枚です。 楽曲はDJ Norikenさん。2年前の「Flowers Unfold」で夏を担当いただいたこともあり、太陽といえば彼、というイメージが僕の中にありました。 そしてCDのリードとなる曲がFairy Sugar Hearts。タイトルも曲も、CD全体の空気を象徴する素敵な楽曲です。

02.[水星] From First Planet

水星には「知性」という意味があるそうです。しょっぱなから難しいテーマだったと思います…。 おいしそうなミルフィーユを描いてくださったのは初登場のえきあさん。 お菓子の擬人化本がかわいらしかったので、今回のテーマにはきっと合う!と思ってお願いさせていただきました。 知の結晶である本がお菓子の中で積まれているのが素敵です。 曲は、ラクエスクのCDにはなくてはならない存在のstereoberryさん。 イラストから感じられる浮遊感がばっちり音に現れています。

03.[金星] OTOME HANDZ UP

美を司る金星。 きらびやかなイメージから、昨年美しいドレスを描いてくださった斉藤アキさんと、キラキラ可愛い曲の代表?t+pazoliteさんのコンビにお願いしました。 キラキラ金色に輝くド派手なアップルパイと笑顔のくー子が眩しいイラストが、まさに金星!といったイメージを喚起されます。りんご型の宇宙船に乗っているのもニクい演出ですね。 そんなイラストに乗る曲はハンズアップ。期待の通りのきらびやかなサウンドが心地いい一曲です。

順番的に次は地球ですがそれは後ほど…。

04.[火星] Melty Mars

火星は「戦い」を象徴しています。戦ってなんだろう……と自問自答しつつ、何でもこなしてくれる最強の男Hommarjuさんを召喚しました。 上がってきた曲は「戦」とは程遠い平和な曲。この人にはいつもいつも想像の斜め上をいかれてしまいますね。 木琴はご自身で演奏されているそうで、是非一度演奏を拝見してみたいです。 イラスト担当のはちぷよさんにも厄介なオーダーを投げてしまって大変迷惑をおかけしました…。 火星のモチーフ出しつつファンシーに仕上げていただいて非常に感謝です。

05.[木星] Forestland

木星には「進歩」という意味があるそうです。 進歩…英語でProgressive…とくればこの人でしょう。 Stratosphereでも大活躍のAlinutさん。「かわいいプロッグ」にとても悩んだそうですが、Alinutさんのプロッグにはいつもかわいさのようなものを感じていたので、アウトプットは間違いないものになると信じていました。 イラストにはいつもコミティアなどでお世話になっているひかがみひなみさん。 お菓子モチーフの創作もされていたので、今回のテーマにぴったりでした。 木星の表面のようなマーブルが可愛らしいマカロンが彩りを添えてくれています。

06.[土星] Saturn Valley

太陽系の中でもひときわ異彩を放つ見た目をしている土星。 そんな太陽系の花型的存在を表現していただいたのは、ほまれさんとJunkさん。 星が意味する「時間」は屈指の扱いにくさだと思われたのですが、お二方とも綺麗にそれを取り込んだものをつくっていただきまして…マジですごいです…。 ほまれさんは、「お菓子ができあがるまでの時間を楽しむふたり」を、 Junkさんは、「(この企画が生まれるに至った)あの楽しかった時間を忘れないように」という思いをそれぞれ込めてくださったそうです。 エモすぎる。

07.[天王星] SweetPlanetWonderland

「変化」を司る天王星。 音楽で変化といえば変拍子変拍子といえばm@sumiさん。 お菓子は食感の変化が楽しいシュークリーム。 イラストは弊サークルのイラストレーターナツメサク。 企画段階で「僕らは2枚ずつ描こうか」という話をしていたんですが、「天王星海王星」の対比を綺麗に仕上げていただきました。 楽曲の方はまさにお菓子づくり!という曲調で、ところどころに入るコーラスがまた可愛い……。 よーく聞いてみると、「シュークリーム」であったりとか、他にも宇宙っぽい単語が散りばめられていて、m@sumiさんの演出力にただただ脱帽するばかりでした。

08.[海王星] Vanilla

「神秘」を司る海王星。 星の構成が天王星にとても似ているということもあり、某美少女戦士アニメではふたつセットのように描かれていたりします。 楽曲は初登場のRyunosuke Kudoさん。 以前リリースされていたFuture Bassがとても美しく、これだ!!という感じでお願いさせていただきました。 「海王星」の名の指す通り、海の中(お菓子も貝をモチーフにしたマドレーヌです)と宇宙空間とも解釈できるイラストに非常にマッチした素晴らしい楽曲が、なんとも神秘的な空間を創りだしています。

09.[冥王星] 宵の袂、夜と二人

初めて自分の絵に曲をつけていただきました。 前述した通り、「僕らは2枚ずつ描こうか」という話をしていたので、僕は大きいのを1枚描いてそれを分割する形でやってみました。 冥王星には、「死、破壊と再生」という意味があるそうで、これは全然ルーアンドクーっぽくねえなあと思いながらウンウン唸っていました。 そうこうしながら選んだお菓子はモンブランです。 太陽と真逆の象徴である星なので、お菓子も、絵も、曲も、太陽と正反対にしてやろうと思って選びました。 るー子とくー子の好きなものを知ってる方はピンと来てくれるんじゃないかな?と思います。 冥王星には寄り添う大きな衛星があり、これもなんかルーアンドクーっぽいなあと思いながら、最終的に「2色のモンブラン」という形で落ち着きました。 るー子が差し出す衛星側のケーキをくー子の手で完成させるってところがミソです。 もう一方の(冥王星の)ケーキの周りが暗いのもミソです……。

曲の方ですが、昨今飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍するFeryquitousさんにお願いしました。 「冥王星」のイメージがここまで似合う人もなかなかいないんじゃないかなと思います。 「破壊と再生」と「ふたり、また太陽と冥王星の対称性」について念入りにお話して、楽曲に落とし込んでいただきました。 これについてはもう本当に聞いてくださいって感じです。

太陽から続く宇宙の旅は、一旦ここで終了ということになります。

10.[地球] I'll be there

というわけで帰ってきました。 母なる大地、郷愁、懐かしさ……をキーワードに、選んだケーキは「ショートケーキ」です。 ケーキといったら?でみんなが思いつく。そういう存在ですからね。全てのケーキのお母さんみたいなもんです。実際は違うんでしょうけど。

エンディングの後の真のエンディング、ということで、懐かしくエモーショナルな楽曲を源屋さんにお願いしました。タイトルが最高。 近年「TERRA」としてのリリースも行っていたこともあり、無理言って名義の中に混ぜていただきました。 ここまで通して聞いていると、遠い遠い宇宙の旅(実際は全部家の中)から帰ってくるんだなあ……。という気持ちにさせてくれます。 地球が「みんなにとっての帰る場所」であることのように、ふたりにとってお互いの側というのもまた「帰る場所」である、ことをうまいこと表現したかったんですが、いかがでしたでしょうか……。

おわりに

気づいたらめっちゃ長文になってて僕の体力も尽きました。去年もこの一文書きましたね。 1つのストーリーをたくさんの人で紡ぐのでめっちゃカロリー使いますが、やはりCDはいいですね。 なんというか、その分表現できる場が大きいというか。目だけじゃなく耳にも訴えられるのってすごくいいなって。 来年もその次も、ふたりの素敵な生活をこうやって表現できたらいいなって思います。 もちろんCDだけじゃなくて本もつくっていきますよ! 感想などなどいただけると喜びますので、ツイートだったりメンションだったりしてくれると、大変うれしいです。 ルーアンドクーがあなたの生活をちょっとでも彩ることができたなら幸せです。