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And Q.

思ったことを書きます

Euphoric Tourism

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Euphoric Tourism - ラクエスク C88

去る8/16(日)コミックマーケット88 3日目にて、僕が主宰するサークル「ラクエスク」から音楽CDがリリースされました。

その名も「Euphoric Tourism」。直訳すると「多幸的観光旅行」です。

テーマは「ヨーロッパ旅行」。欧州9カ国をルーアンドクーのふたりが旅して、国々の様子を収めたアルバムと、各国のテーマソング集をひとつにまとめた一枚となっています。

折角なんでクロスフェードでも聞きながらこの記事を読んでいただければと思います。 www.youtube.com

ルーアンドクーをフィーチャーして音楽CDをつくりたい」という夢が叶った昨年の夏。人間というのは欲深いもので、一度蜜の味を知ると何度も舐めたくなっちゃうんですよね。そんなわけで始まった2枚目のコンピレーションアルバム企画。テーマが決まるまでにはあまり時間を要しませんでした。 発端こそあまり覚えてないんですが、「まあ旅行だよね」という感じですんなりと決まったような気がします。 最初は世界旅行のつもりで色々と国を考えていたんですけど、色々あってヨーロッパに落ち着きました。僕自身ヨーロッパ(特にイタリア、イギリス、ドイツあたり)に強いあこがれがあったのも幸いしたような気がします。

ストーリー

旅行をテーマにCDをつくるにあたって、単にヨーロッパ行ってきましたーわーおつかれ〜みたいな一枚にはしたくありませんでした。 ちゃんとふたりにはヨーロッパに行く理由があって、見たいものは見て、買うもの買って、おもいでを胸にしまって帰ってきて、それでいてその記憶と記録をみんなに届けてくれたんだよ、そんなストーリーを持たせた、つもりです。 あまり具体的なことを書いてしまうと想像の余地を消し去ってしまうので、設定の一部だけこの場を借りて公開したいと思います。

るー子とくー子は「妖精」であって人間でない。妖精には妖精の世界があって、彼女たちは自由に「こっち側」と行き来することができる。
ただし、ふたりがやってこれるのは日本国内の中だけ。(他の国には別の担当者がついてる感じ)
妖精たちは「こっち側」に暮らす人間たちの夢を叶えるお手伝いをすることを生業としていて、ルーアンドクーはその見習いである。
見習いであるふたりには上司的なポジションの人物がいる。

今回の旅は、人間界にとっての「妖精」という概念が生まれた地を見学してくる、という社会科見学の一端。

そんな感じでヨーロッパを周ることになりました。 なぜその9カ国なのか?もしかしたら他の国もまわってるんじゃないか?その辺りはご想像にお任せします。 元来手のひらサイズであるはずのふたりが思いっきり人間サイズで行動してたりとか、お金はどこから出てるんだとか、色々ツッコミどころはあるかもしれませんが、そういうのは不思議な力で解決できるんです。何卒よろしくお願い申し上げます。

イラストについて

今回も前回同様「イラストに合わせて楽曲を制作してもらう」というプロセスを踏んでいますので、何はなくともまずはイラストの話をしなくてはならないでしょう。 国と作曲者が先に決定した状態だったので、イラストレーターの方々は作曲者と国に合わせて選出させていただきました。(一部例外もありますが…) 皆様それぞれが思う旅路の様子がイラスト1枚1枚にしっかり描かれていて、愛を感じずにはいられないブックレットになりました。 難しいテーマにお付き合いいただいた皆様に、この場を借りて感謝を申し上げます。

楽曲について

色んな国を周るわけですから、その国独特の文化だったりなんだったりがあるわけで、それは勿論音楽にも言えるわけで。 残念ながら僕には音楽をつくる能力がないので、僕の脳内にあるイメージを具現化してくれそうな方々にお願いするという場面に遭遇するわけですが、お声がけさせていただいた皆さんは、こちらが提示した国のイメージをばっちりと表現してくださいました。

そんな楽曲群をひとつひとつ紹介していきたいと思います。

01. Departure -Euphoric Tourism-

前作「Flowers Unfold」の1曲目、冬担当のstereoberryさん。やはりルーアンドクーのCDの1曲目といえばこの人しかいない、という具合で、国の曲だけでなくオープニングトラックまでお願いしてしまいました。 空港のラウンジから、飛行機に乗り込み飛び立つまで、そんなイメージで、これから出発するんだ、という期待と高揚感がぎっしり詰まった最高のオープニングになっています。 ちなみにタイトルは僕がつけました。恐縮の極みです。

02. Götterdämmerung

というわけで二曲続けてstereoberryさん。国はドイツ。 ドイツと言えばこの人ということでイラストは栗葉さん。楽曲担当より先にイラスト担当が決まった国の一つです。 キャラのイメージにマッチするモチーフは何かなーと思って僕は森を想像したんですけど、描かれたのはベルリンの国会議事堂でした。 この場所に込められた思いとかバックストーリーも聞かせていただいたのですが、ちょっとこれは僕の口から語るよりもご本人に語っていただきたいところであります。 楽曲は、そんなガラス張りのドームに差し込む夕焼けと、乱反射する蒼い光を体現した、爽やかなテクノトラックです。 テクノでいきます、と聞いた時には「結構無機質なスタートを切るんだな〜」と思っていたんですが、全然そんなことはなく、旅の始まりに相応しい高揚感ある一曲に仕上げていただきました。 当アルバムにおける「ドイツ」という舞台には、建築物も電子音楽も人工物であることに変わりはなく、人の手によってもたらされる美しさ、儚さが込められているように思えてなりません。

03. Whirlwind

オランダをテーマにした一曲。オランダを発祥とする音楽はとても多く、クラブミュージックという枠にしてもダッチトランスからロッテルダムテクノ、ガバとジャンルの幅がとにかく広い。 トランス畑に居を構える僕からするとやはりオランダはトランスの国なので、トランス繋がり!というところから源屋さんにお願いしました。 ざっくりと与えられた「オランダ」というテーマには縛られず、イラストから得たインスピレーションをそのまま表現した、と氏はおっしゃっていましたが、オランダの名物である風車と、広がるチューリップ、そしてそこに吹き込む風…そんな情景が描かれたイラストにピッタリの爽やかなトランスに仕上がっています。

04. float on flowers

イギリスですね。UK。UKといえば?やはりNorikenさんですね。 イギリスも色々名所がありますので、どこが描かれるか楽しみでした。スコットランドの「妖精のプール」とか、そびえたつ時計塔「ビッグ・ベン」とか。 イラスト担当のほまれさんが選んだのは「チェルシー・フラワー・ショー」でした。 見たことのない花々に興奮するふたり。前作Flowers Unfoldの記憶も蘇り、あの頃と似て非なる環境に心躍らせるさまが想起されました。 楽曲はそんな満開の花が持つ力強さ、綺麗さが前面に押し出されたエモーショナルなUKハードコア。落ち着いた曲調のトラックが多い中、ひときわ元気と輝きを放ってくれる素敵な1曲。

05. ReQuerdo

スペイン。こちらも名所は多数!しかしクラブミュージック大好きっ子である僕のワガママで、ふたりにはイビザ島に行ってもらいました。 「そういう」文化のある地なので、ふたりには多少刺激が強いかもな、と心配していたんですが、届いたのは、まさにイビザの夕陽を表す、心が洗われるようなチルアウト。駆け足で進んできた旅も一旦休憩、夕陽の見えるカフェで落ち着くふたり。みずはさんのイラストも相まって何もかもがエモい。最高です。 現地に行ったことがあるかは存じておりませんが、同じクラブ畑で育ってきたであろうHommarjuさんなら、きっとイビザの空気も表現してくれるだろう、という期待を込めて、ここをお願いするに至りました。昨年も感じたことですが、Hommarjuさんの引き出しの広さにはただただ唖然とするばかりです。

ここまでは昨年も参加していただいたメンバーが続き、ここからの5曲は新たにご参加いただいた方々の楽曲が続きます。 旅路に合わせてトラックリストを決めたので本当にたまたまなのですが、曲順の折り返し地点でもあってなんとなく第2章な感じがしますね。僕だけでしょうね。

06. Stay with you

フランスといえばお料理やスイーツ、ファッションなどなど全てがオシャレ。 その反面、音楽ジャンルでは「フレンチコア」や「フレンチエレクトロ」といった、その名からは想像もつかない攻撃的な楽曲が生まれる、そんな謎の土地というイメージを持っていました。 ある意味、一番「読めない」国がこのフランスでした。

フタを開けると、ヴェルサイユ宮殿でおめかしするふたり、流れてくるのは現代的ダンスミュージック。時を越えたダンスホールで、くるくると踊るふたり…。 さながら映画のワンシーンのような、完成された一枚の画がそこにありました。

07. fluido

今回の企画の中で一番、驚かれた方も多いのではないでしょうか。 実際にCDができて、即売会が終わって1週間が経ちますが、僕自身まだ驚きの渦中から抜けだせずにいます。 ヨーロッパを表現するにあたって絶対に外したくなかった3カ国のうち、ドイツとイギリスはなんとなく楽曲の方向性が決まっていたんですが、イタリアだけはパッとどういう音楽が似合うか浮かばなかったんです。 そんな中で稼働した新作ポップン。そこに収録されている「時空学者とブルーメン」が僕の中のイタリア像と完全にマッチしたのがきっかけで、m@sumiさんにお声がけさせていただくに至りました。 ヴェネツィアには人一倍強い憧れがある、と語るナツメサクさんによる気合の入った 流れる水と揺れるゴンドラ。水の都ヴェネツィアに相応しい一曲です。ジャンルは……何でしょう。

08. Gruess Gott Tochter

ルーアンドクーはふたりとも音符をモチーフにした謎のアイテムを持っています。 ならば音楽の国を避けては通れないでしょう、ということでオーストリア。 実はイラストの担当を誰にしようか一番悩んだ国だったんですが、結論として「この人の描くルーアンドクーを見たい」という気持ちを先行させました。 旅の途中で出会った楽団にお邪魔して、コンサートに飛び入り!イラストに描かれたふたりの担当パートであるハープとヴァイオリンがふんだんに用いられた美しいトラックです。 先述のfluidoもそうですが、クラブミュージックとこうした癒し系のインストが一緒に入ったCDって普通ありえないような気がしています。我ながら不思議なCDをつくってしまった。

09. Non Venda Rally

始めに「世界旅行に行ってもらいたい!」という案が出た時、構想段階からあったのが「サンタクロース村」でした。 ルーアンドクーだってサンタさんに会いたいし、「夢を叶える」点では大先輩だし、絶対に外せないでしょう。 そして誰に曲を書いてもらうか、という議論する間もなく、もう「こういうテーマ」だったらこの人しかいないといった具合で、恐らく一番最初に担当を決めたのもこの曲だったような気がします。 イラストの担当もすんなり決定。パーティ感と可愛さの融合、加えてシチュエーションにしっかりマッチした人選だったと自負しています。 上がってきた曲、イラストともに「まさに!」といったところで、パーフェクトです。

10. Auroras

終着地は世界の果て。 このCDはこの1曲のためにあると言っても、ある意味過言ではないかもしれません。 沢山の幸せが詰まったここまでの道のりが、おもいでがフラッシュバックして、夜空に浮かぶ緑のカーテンが、旅の終わりを祝福してくれる。 「Euphoric Tourism」の締めに相応しい、多幸感溢れるトランス。 幸せっていうのはこういうことを言うんだな、と思いました。 「旅行」をテーマにするにあたって、最後に宇宙に行ってもらうのはどうか、というアイデアがあったんですが、ヨーロッパに変更するにあたってこういう形に落ち着きまして、それでもって宇宙と言ったら…?

このふたりの組み合わせ、最高すぎたのでまた見たいです。

といった感じでだらだらと書かせていただきましたが、全曲最高のクオリティに仕上がっています。 もう聞いた人もまだ聞いてない人も、ぜひブックレット見ながら一周してみてください……!

装丁について

またも紙です。なんで紙なのかは去年の記事を参考にしていただくとして、前回との変更点などなど。

デザイナー二人体制

いつもラクエスクの発行物でお世話になっているヒトマスモドルさんに加え、今回はcodaさんをお呼びしちゃいました。 彼の旅っぽいデザインがとっても好みだったのと、モドルさんと組んでもらうことで何かいい感じの化学反応が起きないかな!?という気持ちがありまして。 今回codaさんがすごく気合を入れてくださって、国から国へ移動する際の移動手段のチケットの半券とか持って帰ってきちゃった、っていう「行ってきた感」の演出であったり、ルーアンドクーふたりからのお土産っぽさの表現だったり、とにかく細部まで行き渡った気遣いが、CDの完成度を爆上げしてくれています。 モドルさんのロゴワークも凄まじく、パッケージから伝わるすさまじい「旅感」は絶対に他では出せないオーラを放っている自負があります。現物をお持ちの方はぜひ隅々まで見てみてください。

3つ折りにしました

完全に趣味です。開く楽しみが増える!開けた時の迫力がすごい!かわいさ倍増!いいことしかない!

あとはアバビヨリスペクトです。分かる人には分かるはず。

旅のおもいでセット

せっかく綺麗なイラストをいただいたのに、ブックレットの小さなサイズに収めるだけじゃ勿体無いな、と思って、ポストカードをつくることに。 それなら何かかわいいものでラッピングしたらもっとお土産感が出ていいんじゃないか? そんな思いから生まれた封筒と、紐で封をするアイデア。 このパッケージングは自分で言うのもなんですが、相当「良い」と思います。気合と可愛さと愛の塊です。

シークレットページ

先述の「せっかく綺麗なイラストをいただいたのに、ブックレットの小さなサイズに収めるだけじゃ勿体無いな」という思いから生まれたもう一つの企画。 ブックレット最後のページにあるチケットにはQRコードが印刷されているんです。あとはよろしくお願いします。

タイトルについて

今回のタイトルである「Euphoric Tourism」には、前回の「Flowers Unfold」との共通点というか、規則がいくつかあります。 2枚しかないのに規則もクソもないと思いますが、ある種変わった自己満足というかこだわりポイントなので、気づいた方はこっそり報告してくれると僕が喜びます。 そしていつか3枚目をつくった時が来たら、「なるほど」と思っていただければ。

おわりに

気づいたらめっちゃ長文になってて僕の体力も尽きたので、まだまだ書きたいことはありますが今日はこんな感じで……。 CDの感想めっちゃ見てます。そして喜んでます。 本当、今回の企画は最高でした。そんな気持ちも込めて、この一文で記事を締めたいと思います。

至福の旅のおもいでを、あなたにも。